| <メッセージ> |
| ●ねたみ |
| ねたみというものは、どうしようもなく湧いてくるものです。 |
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| 幼い子供でもねたみます。 |
| 親は我が子を同じようにあつかっているつもりでも、兄弟同士でねたみ合う、 |
| 一方を誉めれば、誉められなかった子は「僕は」と言ってきます。 |
| 「お兄ちゃんばっかり」「弟ばっかり」と思うのです。 |
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| 大人になればなおさらです。 |
| ある人が自分にないものを持っていると、ねたむ心が起きてきます。 |
| 人々に認められてちやほやされている人、 |
| 成功している人、 |
| 幸せそうな人、 |
| 自分より上の地位に就いている人、 |
| 豊かな暮らしをしている人、 |
| 円満な家庭を持っている人、 成績優秀な子供を持っている人、 |
| 健康な人、等々 |
| 自分と比べて、こういう人達をねたみます。 |
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| そればかりでなく、 |
| 神様からたくさんの賜物をいただいている人、 |
| 神様に大きく用いられている人、 |
| そのような人に対してもねたみが湧いてくるのです。 |
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| ●カインとアベル |
| 聖書が記す最初の殺人事件、兄カインが弟アベルを殺したのはねたみのため |
| でした。 |
| 神様がアベルの献げ物には目を留められたけれど、カインの献げ物には目を |
| 留められなかったからです。 |
| この物語は、こののち行なわれるすべての殺人事件はねたみから来ているこ |
| とを告げています。 |
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| ●イエスを殺す |
| 祭司長や律法学者達がイエス様を殺そうと思ったのも、ねたみからでした。 |
| 彼等は捕らえたイエス様をローマ総督ピラトの前に引き出しました。 |
| 聖書にはこのように記されています。 |
| 群衆が押しかけて来て、いつものようにしてほしいと要求し始めた。そこで、 |
| ピラトは、「あのユダヤ人の王を釈放してほしいのか」と言った。 |
| 祭司長たちがイエスを引き渡したのは、ねたみのためだと分かっていたから |
| である。 |
| 祭司長たちは、バラバの方を釈放してもらうように群衆を扇動した。 |
| そこで、ピラトは改めて、「それでは、ユダヤ人の王とお前たちが言っている |
| あの者は、どうしてほしいのか」と言った。 |
| 群衆はまた叫んだ。「十字架につけろ。」 |
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| ●ねたむサウル |
| サウル王はダビデをねたみました。 |
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| 最初サウルはダビデをとても気に入っていたのです。 |
| 悪霊がサウルをさいなむようになったのですが、ダビデが傍らで竪琴を奏でる |
| と、心が安まって気分が良くなりました。 |
| また、ペリシテ軍のゴリアトが一騎打ちを挑んできた時、ダビデは石投げひもを |
| 使って石を飛ばし、ゴリアトを倒しました。 |
| サウル王はこの日、ダビデを召し抱えました。 |
| サウルはダビデを戦士の長に任命しました。 |
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| ところが次第にダビデに人気が出てきたのです。 |
| 18章には |
| 皆が戻り、あのペリシテ人を討ったダビデも帰って来ると、イスラエルのあらゆ |
| る町から女たちが出て来て、太鼓を打ち、喜びの声をあげ、三絃琴を奏で、歌 |
| い踊りながらサウル王を迎えた。 |
| 女たちは楽を奏し、歌い交わした。「サウルは千を討ち、ダビデは万を討った。」 |
| サウルはこれを聞いて激怒し、悔しがって言った。「ダビデには万、わたしには |
| 千。あとは、王位を与えるだけか。」 |
| この日以来、サウルはダビデをねたみの目で見るようになった。」 |
| と記されています。 |
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| ●ねたみ・恐れ・殺意 |
| ねたみを持ったサウルは、ダビデが自分の王位を奪い取るのではないかと恐れ |
| るようになります。 |
| その恐れは、ダビデを殺してしまおうという殺意になっていったのでした。 |
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| サウルは何度も何度もダビデを殺そうとしました。 |
| 危機一髪のところを救ってくれたのはダビデの妻となったサウルの娘ミカルで |
| あり、サウルの息子ヨナタンでした。 |
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| ●逃げ出すダビデ |
| ダビデはサウルのもとから逃げ出します。 |
| サウルは執拗にダビデを追いました。 |
| ダビデは、ダビデのもとに集まってきた数百人の兵士達と共に逃避行を重ねま |
| す。 |
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| そして今日の箇所では、サウルがイスラエルの全軍からえりすぐった三千の兵 |
| を率いて、ダビデとその兵を追って来たのでした。 |
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| ●サウルを殺さない |
| 途中、洞窟があったので、サウルは用を足すために入りました。 |
| ところがその洞窟の奥にはダビデとその兵たちが隠れていたのです。 |
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| ダビデの兵はサウルを殺すチャンスだと言いました。 |
| しかしダビデは「わたしの主君であり、主が油を注がれた方に、わたしが手を |
| かけ、このようなことをするのを、主は決して許されない。彼は主が油を注がれ |
| た方なのだ。」 |
| と言いました。 |
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| ダビデはサウルの上着の端をひそかに切り取りました。 |
| サウルは全く気付きませんでした。 |
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| ●ダビデの訴え |
| 洞窟を出たサウルにダビデは呼びかけます。 |
| 10節からです。 |
| 「ダビデがあなたに危害を加えようとしている、などといううわさになぜ耳を貸 |
| されるのですか。 |
| 今日、主が洞窟であなたをわたしの手に渡されたのを、あなた御自身の目で |
| 御覧になりました。そのとき、あなたを殺せと言う者もいましたが、あなたをか |
| ばって、『わたしの主人に手をかけることはしない。主が油を注がれた方だ』 |
| と言い聞かせました。 |
| わが父よ、よく御覧ください。あなたの上着の端がわたし の手にあります。 |
| わたしは上着の端を切り取りながらも、あなたを殺すことはしませんでした。 |
| 御覧ください。わたしの手には悪事も反逆もありません。あなたに対して罪を |
| 犯しませんでした。それにもかかわらず、あなたはわたしの命を奪おうと追い |
| 回されるのです。 |
| 主があなたとわたしの間を裁き、わたしのために主があなたに報復、されます |
| ように。わたしは手を下しはしません。 |
| 古いことわざに、『悪は悪人から出る』と言います。わたしは手を下しません。 |
| イスラエルの王は、誰を追って出て来られたのでしょう。あなたは誰を追跡され |
| るのですか。死んだ犬、一匹の蚤ではありませんか。 |
| 主が裁き手となって、わたしとあなたの間を裁き、わたしの訴えを弁護し、あな |
| たの手からわたしを救ってくださいますように。」 |
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| ●理由 |
| 幾度も幾度もサウルに殺されそうになりながら、それでもダビデがサウルを殺さ |
| なかった理由はただ一つです。 |
| 主がサウルに油を注がれたからです。 |
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| ダビデ自身も主から油を注がれた者です。 |
| 「牧場の羊の群れの後ろからわたしを取り出し、油を注がれたのは主。 |
| だから主がすべてのことを運んでくださる。」 |
| ダビデは、主がしてくださることにお任せして、自らサウルに手を下すことはしま |
| せんでした。 |
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| ●悪意を包む善意 |
| ダビデの行動はサウルの心を動かしました。 |
| 「わが子ダビデよ、これはお前の声か。」とサウルは声をあげて泣いたのです。 |
| そして言いました。 |
| 「お前はわたしより正しい。お前はわたしに善意をもって対し、わたしはお前に |
| 悪意をもって対した。 |
| お前はわたしに善意を尽くしていたことを今日示してくれた。主がわたしをお前 |
| の手に引き渡されたのに、お前はわたしを殺さなかった。 |
| 自分の敵に出会い、その敵を無事に去らせる者があろうか。今日のお前のふ |
| るまいに対して、主がお前に恵みをもって報いてくださるだろう。 |
| 今わたしは悟った。お前は必ず王となり、イスラエル王国はお前の手によって |
| 確立される。」 |
| ダビデの善意がサウルの悪意を包み込んだのでした。 |
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| ●私達 |
| 皆さんはどうでしょうか。 |
| 単に聖書に記されている事柄として読んだなら、立派なことが記されている、 |
| すばらしい、と思います。 |
| でもあなたはどうですか。 |
| 私達はダビデのように、善意を持って悪意を包むことが出来るでしょうか。 |
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| わたしは、悪意をもって近づいてくる人を恐れます。 |
| その人は、わたしを攻撃し、傷つけ、殺そうとしている。 |
| どうしてそのような人に対して善意をもって対することが出来るでしょうか。 |
| 心も体もすくみ、殺されてしまうか、 |
| 死にものぐるいで抵抗し相手を殺すかのどちらかです。 |
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| わたしは、とても悪意に対して善意をもって対することが出来ません。 |
| でも、このような状況の中で、なお主のなさることに我が身を委ねていくことが |
| 出来たら、どんなに良いかと思います。 |
| そうすれば力強く人生を歩むことが出来ることでしょう。 |
| そうなりたいと、切に願います。 |
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| ●包み込めない |
| サウルは、ダビデがサウルに善意を尽くしていたことを知りました。 |
| ダビデの善意がサウルの悪意を包みました。 |
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| けれどそれは長くは続かなかったのです。 |
| ダビデの言葉に声をあげて泣き、主がダビデを王とされることを悟ったはずな |
| のに、サウルはこの後もダビデを殺そうとし続けたのでした。 |
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| ●その後の時代 |
| サウルとダビデの時代から1000年、人々はねたみをいだき、ねたみから恐 |
| れへ、恐れから殺意へと、苦しい思いを抱きながら生きてきました。 |
| 権力争い、戦争、他の国に占領され属国となるという歴史が続いていきました。 |
| 人々はメシア−油注がれた者が来ることを待ち望むようになりました。 |
| ダビデの末からメシアが現われる、ダビデのように、ダビデ以上に勝利するメシ |
| アを待ち望んだのでした。 |
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| この間も神様はずっとイスラエルの民を導き続けてくださいました。 |
| そしてついに、神様はメシアを送ってくださったのです。 |
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| ●メシアを殺す |
| けれども人々はメシアを殺してしまったのでした。 |
| 人間の心の中に、取り去りようもなく湧いてくるねたみ、そのねたみによって |
| イエス様は殺されました。 |
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| 今日の聖書の箇所になぞらえれば、ねたみ、恐れ、殺意を抱いたサウルが、 |
| 何の落ち度もないダビデをついに殺した、ということになります。 |
| 悪意が善意に勝ったのです。 |
| 人の目から見れば、イエス様の十字架は、そういうことです。 |
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| ●神の善は人間の悪を包む |
| けれども、イエス様が十字架に死なれたその瞬間は、神様の善意が、人間の |
| 悪意を包み込んだ瞬間だったのです。 |
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| 人間の悪意を全部その身に引き受けてイエス様が死んでくださることによって、 |
| 神様は人間を赦されたのでした。 |
| 神様の善意です。 |
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| 私たち人間のすることは、悪意には悪意を持って立ち向かうことです。 |
| がんばって懸命に善意を持って悪意を包んでも長続きしません。 |
| この、人間にはどうすることも出来ない悪意を神様の善意が包み込みました。 |
| 人間は神様の赦しの中で生きることになったのです。 |
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| ●赦しの中で |
| 今私達は神様の赦しの中で生きています。 |
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| 人生には恐ろしいことが起こってきます。 |
| 何とかしなければと、うろたえるばかりです。 |
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| でも思い出しましょう。 |
| 神様は私達を愛してくださっています。 |
| 神様は全能のお方です。 |
| どんなことでもお出来になります。 |
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| 恐れながら、おびえながらでもいい、起こってくる事柄を見つめましょう。 |
| すると神様が働いておられることがわかってくるでしょう。 |
| 起こっている事柄は自分の望んでいることではないかもしれません。 |
| でも自分の望んでいることをはるかに超えて神様は良いことをしてくださった |
| ことに気付くのです。 |
| その積み重ねの中で、少しづつ、神様にお任せできるようにしていただけるの |
| です。 |
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| ●結語 |
| 神様の善意が、人間の悪意を包み込んでくださいました。 |
| 神様のなさることに委ねていって大丈夫なのです。 |
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| 私達ひとりひとりを、神様は包み込んでくださっています。 |
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| 私達の主は、すべてのことを善に変えてくださるお方です。 |
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