| <メッセージ> |
| ●切実な問題 |
| 「皇帝に税金を納めるべきでしょうか、納めてはならないのでしょうか。」 |
| この世の権力に従うべきか、従うべきではないのか、という問いです。 |
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| この問題は私達にとっても重要な問題です。 |
| 私達は仙人のような暮らしをしているわけではありません。 |
| 世を離れ、霞を食らって生きているのではありません。 |
| 私達はこの世の中で生きているのです。 |
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| 毎日のようにこの問題にぶつかります。 |
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| ●陥れようとして |
| この質問をしたのは、イエス様の言葉尻をとらえてイエス様を陥れようと思って |
| いる人達です。 |
| おそらく、祭司長、律法学者、長老達でしょう。 |
| この人達は、イエスをどのようにして殺そうかと考えています。 |
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| 彼らはファリサイ派やヘロデ派の人を数人イエス様のところに遣わして質問さ |
| せました。 |
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| ●人々が苦しんでいる問題 |
| たしかに彼らがした質問は下心のある質問です。 |
| けれどもこの質問の内容は、多くの人々がとても苦しんでいる事柄です。 |
| 彼らは、頭の中で考える理論や、哲学的、神学的な論争をしかけているのでは |
| ありません。 |
| 今、現に皆がどうしたらいいかとひどく悩んでいる、その問題についてのイエス |
| 様の答えを求めたのでした。 |
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| ●当時の状況 |
| 当時ユダヤ地方は、ローマ帝国の支配下にありました。 |
| ですから皇帝に税を納めなければなりませんでした。 |
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| 税を納めるということは、ローマの支配を認めることです。 |
| それは屈辱的なことです。 |
| 誰もがいやだと思いながらも、権力に従わなければなりませんでした。 |
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| 税を納めることについては、色々な立場の人達がいました。 |
| ヘロデ党の人達は、領主ヘロデの家に近い立場の人達です。 |
| ローマ皇帝の支配下にいる以上は、当然納税の義務を負うべきだと考えてい |
| ました。 |
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| その正反対が熱心党の人達です。 |
| この人達はローマの支配をくつがえそうとしていました。 |
| 断じて税を納めてはならない、と直接行動に訴えて納税を拒否していました。 |
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| ファリサイ派の人達は、律法を忠実に守ることを何よりも大切にして暮してい |
| る人達です。 |
| ローマに税を納めることについては反対でした。 |
| けれどもそのことを表に出さず、税金を納めていました。 |
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| ●ファリサイ派とヘロデ派 |
| イエス様のところに、ファリサイ派の人々とヘロデ党の人々がやってきました。 |
| 彼らの立場は全く違います。 |
| けれどもイエス様を殺そうということにおいては一致したのです。 |
| すでに3章で、イエス様が安息日に片手の萎えた人を癒された時に、「ファリサ |
| イ派の人々は出て行き、早速、ヘロデ派の人々と一緒に、どのようにしてイエ |
| スを殺そうかと相談し始めた。」と記されています。 |
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| 彼らはイエス様に問います。 |
| 「皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているでしょうか、適っていないでし |
| ょうか。納めるべきでしょうか、納めてはならないのでしょうか。」 |
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| 二つに一つを選ばせる質問です。 |
| ただ良いか悪いかを聞いているのではありません。 |
| イエス様の個人的な考えを聞いているのでもありません。 |
| 律法に適っているかどうかと、聞いているのです。 |
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| 「納めるべきだ」と言えば、神以外のものに膝をかがめるのか、律法に反して |
| いる、と責めることが出来ます。 |
| 神に背く罪は死罪にあたるのです。 |
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| 「納めてはならない」と言えば、ローマに反抗している煽動者として、ローマ当 |
| 局に訴えることが出来ます。 |
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| ●イエス様の答え |
| ところがイエス様の答えは、どちらでもありませんでした。 イエス様の答えは |
| 人々がアッと驚く答えだったのです。 |
| 「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」 |
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| ●私達に対して |
| このイエス様の言葉を、私達は今、私達に対して言われている言葉として聞き |
| ます。 |
| 私達もこの世に生きて起こってくる事柄に対して、どのように考え、どのように |
| 行動していったら良いのかが、わかりません。 |
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| 私達はイエス様を陥れようという下心を持っていません。 |
| イエス様を信じ、イエス様から答えを聞きたいと願っています。 |
| でも私達の口から出る質問は同じです。 |
| 「皇帝に税金を納めるのは、律法に適っているでしょうか、適っていないでしょ |
| うか。納めるべきでしょうか、納めてはならないのでしょうか。」 |
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| 今わたしが直面しているこの問題に対し、世の習わし、世の考えや価値観に従って |
| 行動して良いのでしょうか。 |
| それともいけないのでしょうか。 |
| どうすることが、神様の御心に適うことなのですか。 |
| と私達もイエス様に問いたいのです。 |
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| ●イエス様 |
| イエス様は真実なお方です。 |
| 人の顔色を見て言葉を左右することはなさいません。 |
| 常に真理に立って、神の道を教えられます。 |
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| 人々はイエス様の言葉尻を捉えて陥れようと思い、下心を持って「先生、わた |
| したちは、あなたが真実な方で、だれをもはばからない方であることを知って |
| います。人々を分け隔てせず、真理に基づいて神の道を教えておられるから |
| です。」 |
| と言いましたが、イエス様について言っている内容はその通りです。 |
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| いつも人の思惑を気にして、人の顔色ばかりを見ている私達とは何と違うで |
| しょうか。 |
| 世が作り出す権威を持っている人の前では、その人をはばかって、思ってい |
| ることを言えない私達とは何と違うでしょうか。 |
| 何が真理か分からずに、あの道、この道とさまよい歩く私達とは何と違うこと |
| でしょうか。 |
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| ●必要 |
| そのイエス様が私達に「皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返しなさい。」 |
| と言われるのです。 |
| 皇帝は世の権力者、支配者、政治的指導者などを代表しています。 |
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| イエス様はこれらの人々の存在を否定しておられません。 |
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| たくさんの人達がこの世で生きていくためには、制度が必要です。 |
| 制度を維持するためには、お金が必要です。 |
| 人々を治める人物も必要です。 |
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| 私達は日本という国に生きています。 |
| その中で生活が守られているのは事実です。 |
| 国が崩壊してしまったら、生活していけません。 |
| 難民となって過酷な状況に置かれている人達がたくさんおられます。 |
| 国が再建され穏やかな生活を人々が送れますようにと私達は願い祈っていま |
| す。 |
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| ●神ではない |
| 人々がこの世で生きていくためには、皇帝に代表される国家が必要です。 |
| 国民は国家の定めるところに従って、秩序を守っていくことが求められます。 |
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| けれども皇帝は神ではありません。 |
| 国家権力は絶対的なものではありません。 |
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| 神は、イエス・キリストをくださった神様ただお一人です。 |
| ヨハネによる福音書には |
| 「言は神であった。・・・万物は言によって成った。成ったもので、言によらずに |
| 成ったものは何一つなかった。」 |
| とあります。 |
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| 神様が総てを治めておられるのです。 |
| その中で部分的に人間に権威が与えられています。 |
| 世にあって多くの人達が生きていくためです。 |
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| ●誤る |
| 皇帝は人間です。 |
| 皇帝を担ぎ上げている人達、政治的な権力を持っている人達もまた人間です。 |
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| 人間は過ちを犯すのです。 |
| 皇帝のものは皇帝に、神のものは神に返すことができない。 |
| いつの間にか自分が神になります。 |
| 自分が握っている権力が絶対的なものであると思ってしまいます。 |
| この過ちを権力ある者達が犯していないかを、いつも注意深く見ていなけれ |
| ばなりません。 |
| 過ちを犯しているときは、「否」と言わなければいけません。 |
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| ●越えてはならない |
| 人が生きていくために与えられている制度と秩序、それを守るための権威は、 |
| 与えられている領域を越えてはならないのです。 |
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| 皇帝のものは皇帝の領域に留まっていなくてはいけません。 |
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| 神様は皇帝の領域をもご自分の領域の中に納めておられます。 |
| ですから、皇帝か、神かではないのです。 |
| 政治か、宗教かではないのです。 |
| 世の総ての権威は、神様の御支配の中にあります。 |
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| ●私達の問題 |
| 神のものは神に返す、これは私達自身の問題です。 |
| 私達は、皇帝のものと神のものとの見分けがつかなくなるのです。 |
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| 生きていくには必要だと、世が与える富や地位を求めていく。 |
| 良い学校、良い成績、良い会社、高い地位など、この世の力を神にします。 |
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| 今日は参議院議員の選挙があります。 |
| 各政党がそれぞれの主張を述べています。 |
| 選挙の結果で国の方向が定まります。 |
| 再び戦争に向かうのではないかと恐れます。 |
| 選挙結果を、絶対的な力と思い、神様の御支配があることを忘れてしまいま |
| す。 |
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| 私達自身が、神のものを神に返すことができない人間であることに気付かな |
| ければなりません。 |
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| 私達はマスコミの報道に支配されています。 |
| そこで言われていることが正しいと思ってしまいます。 |
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| 人々の前では、人をはばかって思っていることが言えません。 |
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| 人の顔色をうかがって自分の言動を決めます。 |
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| 私達は、何が真理なのかがわかりません。 |
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| 世の流れに流されていきます。 |
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| ●イエス・キリスト |
| けれども真実なお方がおられます。 |
| イエス・キリストです。 |
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| イエス様は、人々をはばかって右へ左へと揺れることはありません。 |
| 人の顔色を見て言動を決めることはなさいません。 |
| イエス・キリストは真理です。 |
| 神様に向かってまっすぐに道を歩まれます。 |
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| ●キリストは言われる |
| 私達が間違った道を歩む時、キリストは私達に言われます。 |
| 「神のものを神に返しなさい。」 |
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| そうでした。 |
| わたしが不安なのは、わたしが恐れるのは、わたしが行き詰まり苦しいのは、 |
| 神様を忘れていたからです。 |
| 世の価値観に縛られていました。 |
| 自分で考え何とかしなければと自分に頼っていました。 |
| 神様がわたしのことを思っていてくださっていることを忘れていました。 |
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| ●イエスは言われる |
| イエス様は言われます。 |
| 「神のものを神に返しなさい。」 |
| あなたはわたしのものではないか。 |
| わたしに身をまかせなさい、 |
| と言っておられます。 |
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| イエス様は、世に勝利されたお方です。 |
| 人の目には、人々の思惑でことが運んでいき、人々の画策通りに十字架に |
| かけられた、と見えました。 |
| 人々はイエスは敗北した、と思いました。 |
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| けれどイエス様は世に勝利されたのです。 |
| 十字架によって世の罪を贖い、総ての人々を神様のもとへと導かれました。 |
| このお方こそまことの神であられます。 |
| このお方が、私達の主であられるのです。 |
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| 人が作り出す世の出来事の真ん中を、キリストの道が貫いています。 |
| 何を恐れる必要があるでしょうか。 |
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| ●結語 |
| 「神のものは神へ」 |
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| ただ一筋にキリストを仰いで生きていきたいです。 |
| これからもつまずき、倒れるでしょう。 |
| でもキリストの真理は倒れません。 |
| キリストの愛は失われることはありません。 |
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| わたしがどんなであっても、キリストはわたしを胸に抱き、すくい上げてくださ |
| います。 |
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| 私達は神のもの |
| すべてのものは、神のものです。 |
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