| <メッセージ> |
| ●捕囚 |
| 想像してみてください。 |
| この国に他の国が攻めてきた。 |
| 自分は捕虜になって遠くの国に連れてこられている、と想像してください。 |
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| 長年住んできた家はない、 |
| 親しかった友もいない、 |
| 見慣れた景色もない、 |
| この地の人々は自分とは姿形が違う。 |
| 生活の様子も全く違う。 |
| 話している言葉はわからない。 |
| 何を考えいるのかわからない。 |
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| 周りの人達が恐ろしく思えます。 |
| 国に帰りたい。 |
| 不安で苦しくて耐えられない。 誰か早くこの国を滅ぼして自分達を解放してく |
| れないか。 |
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| その時、2年後に国に帰れると言う人と、70年帰れないと言う人がいたら、ど |
| ちらの言葉を信じますか。 |
| 2年後に帰れるという言葉に望みを繋ぐでしょう。 |
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| ●偽りの預言 |
| 紀元前597年、南ユダ国のエコンヤ王、太后、宦官、ユダとエルサレムの高官、 |
| 工匠と鍛冶が、エルサレムからバビロンへ捕囚となって連れて行かれました。 |
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| この状況の中で、預言者ハナンヤが、主の神殿で、祭司とすべての民とエレミ |
| ヤに言ったのです。 |
| 28:2 「イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。わたしはバビロンの王の軛 |
| を打ち砕く。 |
| 28:3二年のうちに、わたしはバビロンの王ネブカドネツァルがこの場所から |
| 奪って行った主の神殿の祭具をすべてこの場所に持ち帰らせる。 |
| 28:4 また、バビロンへ連行されたユダの王、ヨヤキムの子エコンヤおよびバビ |
| ロンへ行ったユダの捕囚の民をすべて、わたしはこの場所へ連れ帰る、と主は |
| 言われる。なぜなら、わたしがバビロンの王の軛を打ち砕くからである。」 |
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| エレミヤはハナンヤに言います。 |
| 「ハナンヤよ、よく聞け。主はお前を遣わされていない。お前はこの民を安心さ |
| せようとしているが、それは偽りだ。」 |
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| ●エレミヤの手紙 |
| 今日の聖書の箇所は、エレミヤがバビロンに連れて行かれた人達に宛てた手 |
| 紙です。 |
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| その中でも、エレミヤは言っています。 |
| 「29:8 イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。あなたたちのところにいる |
| 預言者や占い師たちにだまされてはならない。彼らの見た夢に従ってはならな |
| い。 |
| 29:9 彼らは、わたしの名を使って偽りの預言をしているからである。わたしは、 |
| 彼らを遣わしてはいない、と主は言われる。」 |
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| そして主の言葉を告げます。 |
| 「29:10 主はこう言われる。バビロンに七十年の時が満ちたなら、わたしはあ |
| なたたちを顧みる。わたしは恵みの約束を果たし、あなたたちをこの地に連れ |
| 戻す。」 |
| 70年。 |
| 人の一生の長さです。 |
| バビロンに連れてこられた人達のほとんどは、エルサレムに帰ることが出来ず |
| にバビロンで死ぬということです。 |
| どこに生きる希望を繋いだらいいのでしょうか。 |
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| ●子孫 |
| 希望はあります。 |
| 自分は帰れないかもしれない。 |
| でも、わたしの子供、孫達は帰ることが出来る。 |
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| 主は、バビロンに70年の時が満ちたなら、あなたたちをエルサレムに連れ戻 |
| すと約束してくださっているのです。 |
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| ●どのように生きるか |
| それならば、捕囚の地でどのように暮らしていったらいいのでしょうか。 |
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| 二つのことが示されています。 |
| 一つは腰を落ち着けて生活しなさい、ということです。 |
| 「29:5 家を建てて住み、園に果樹を植えてその実を食べなさい。 |
| 29:6 妻をめとり、息子、娘をもうけ、息子には嫁をとり、娘は嫁がせて、息子、 |
| 娘を産ませるように。そちらで人口を増やし、減らしてはならない。」 |
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| もう一つは、連れてこられた町の平安を祈りなさい、ということです。 |
| 「29:7 わたしが、あなたたちを捕囚として送った町の平安を求め、その町の |
| ために主に祈りなさい。その町の平安があってこそ、あなたたちにも平安があ |
| るのだから。」 |
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| ●驚くべきこと |
| この2つは2つとも、ユダヤ人にとっては考えられないことでした。 |
|
| ユダヤ人達は、神様がくださった地カナンに住むことによって神様の祝福を受 |
| けることが出来ると思っていたのです。 |
| エルサレムにある神殿で犠牲の動物を献げることによって汚れが取り除かれ、 |
| 神様の前に清い者とされると思っていました。 |
|
| バビロンは異邦人の国です。 |
| 汚れた人達が住む国です。 |
| 汚れを取り除くための神殿はありません。 |
| この人達の中でどうやって清さを保っていけばいいのか、わかりません。 |
|
| このような地に腰を落ち着けて暮らしていくことなど、考えられないことです。 |
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| また、バビロンは敵です。 |
| イスラエルの民は、これまでずっと、敵を滅ぼしてください、という祈りをしてき |
| たのでした。 |
| 自分達を捕虜にした人々の平安を祈ることなど、出来ることではありません。 |
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| ●主の言葉 |
| ところが主は、この地に落ち着いて生活しなさいと言われるのです。 |
| この町の平安を祈りなさい、と言われるのです。 |
| |
| ユダヤの地に留まっていたら聴くことがなかった主の言葉です。 |
| 捕囚の身になったからこそ聞く主の言葉です。 |
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| 主は民に新しい生き方を示されました。 |
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| ●私達 |
| 主は私達にも、今居る所で落ち着いて生きなさい、と言われています。 |
| 周りの人達の平和を求め周りの人達のために主に祈りなさい、と言われていま |
| す。 |
|
| 今居る所、今置かれている状況は、自分が望んでいる状況ではないかもしれま |
| せん。 |
| その中で、つらい苦しい思いをしているかもしれません。 |
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| 逃げ出すことが出来れば逃げ出すでしょう。 |
| でも逃げることが出来ないのです。 |
| 捕囚の民がそうでした。 |
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| それならば、落ち着いて生活するほかありません。 |
| そして一緒に暮らす人達のために主に祈るのです。 |
| |
| ●わたしの平安のために |
| 主は |
| 「29:7 わたしが、あなたたちを捕囚として送った町の平安を求め、その町の |
| ために主に祈りなさい。その町の平安があってこそ、あなたたちにも平安があ |
| るのだから。」 |
| と言われました。 |
|
| その町の人達のことを思って、その人達のために祈りなさい、とは言われてい |
| ないのです。 |
| あなたが平安でいられるために、その人達の平安を祈りなさいと言われるので |
| す。 |
| 自分のために祈りなさい、と言われるのです。 |
|
| ずいぶん自己中心的な祈りです。 |
| 私達はそんな風に祈ってはいけないと思っています。 |
| 敵をも愛する愛で、祈らなければならないと思っています。 |
|
| けれども、実際はどうでしょうか。 |
| 他の人のために祈る自分の心を深く見つめると、ずいぶん自分勝手です。 |
| 自分の暮らしに関わってこないところにその人を置いて、その人のために祈っ |
| ていると言う。 |
|
| 本当は、その人のために祈っているのではなくて、自分が困るから祈っている |
| のです。 |
| 自分がその人のために祈っていると満足する。 |
| 自分の心の平安のために祈っているのです。 |
|
| どこまでも自分中心な私達です。 |
|
| けれど主はそれを咎められないのです。 |
| その人に平安があってこそ、あなたも平安になるのだから、だから、その人の |
| ために祈りなさい、と言われます。 |
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| ●共に生きる祈り |
| この祈りは「わたしファースト」の祈りではありません。 |
|
| わたしが平安であるため、他の人が苦しんでもかまわないというのではないの |
| です。 |
| みんなの平安がないところに、わたしの平安はないのです。 |
| ですから、すべての人々の平安を祈るのです。 |
| すべての人々が平安であってこそわたしも平安でいられる、という祈りです。 |
| |
| ●祈りたい |
| 私達は私達の周りの人のために祈っていきたいです。 |
| わたしが平安であるためには、その人が平安であることが必要なのです。 |
| その人が平安になれば、わたしも平安になるのです。 |
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| 私達は国のために、世界のためにも祈っていきます。 |
| 日本の指導者、世界の指導者のために祈ります。 |
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| 一つの国が平安であるためには、すべての国々が平安でなければならないの |
| です。 |
| 自分の国だけの平安などありません。 |
| |
| ●希望 |
| 私達は、果てしなく続く戦争の歴史の中に置かれています。 |
| けれども私達は希望を持っています。 |
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| 主は言ってくださっているのです。 |
| 「29:11 わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている。そ |
| れは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるもので |
| ある。」 |
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| ●神の国への帰還 |
| 主は |
| 「わたしはあなたたちをあらゆる国々の間に、またあらゆる地域に追いやった |
| が、そこから呼び集め、かつてそこから捕囚として追い出した元の場所へ連れ |
| 戻す」 |
| と言わます。 |
| |
| この主の言葉が、私達を神の国へと招く言葉として聞こえてくるのではありま |
| せんか。 |
|
| 罪を犯した人間は、エデンの園から追放されたのでした。 |
| あらゆる地域へ追いやられました。 |
| 今日の主の言葉は、追いやられたところから、神の国へ連れ戻す、と言われて |
| いるように聞こえてきます。 |
|
| 主は私達を連れ戻しに来てくださいました。 |
| イエス・キリストを私達のところに送ってくださったのです。 |
|
| 捕囚となった民は自分の力では帰ることが出来ません。 |
|
| 人間は自分の力で神の国に帰ることが出来ません。 |
|
| キリストが贖ってくださった、身代金を払ってくださった、身代わりになってくだ |
| さったから、私達人間は、神の国に帰って行くことが出来るのです。 |
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| 主は言われています。 |
| 「29:12 そのとき、あなたたちがわたしを呼び、来てわたしに祈り求めるなら、 |
| わたしは聞く。 |
| 29:13 わたしを尋ね求めるならば見いだし、心を尽くしてわたしを求めるなら、 |
| 29:14 わたしに出会うであろう。」 |
|
| 私達はキリストによって、主なる神に出会うことが出来るようになりました。 |
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| ●結語 |
| 私達はたくさんの不安や恐れを抱えながら生きています。 |
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| それでも、私達は今のところで、今の状況の中で、落ち着いて暮らしていけま |
| す。 |
|
| 人々の平安を祈っていきます。 |
| すべての人々が平安であってこそ、わたしの平安があるのです。 |
| |
| 私達には希望があります。 |
| 主が約束してくださっています。 |
| 「29:11 わたしは、あなたたちのために立てた計画をよく心に留めている。そ |
| れは平和の計画であって、災いの計画ではない。将来と希望を与えるもので |
| ある。」 |
| |
| 私達は、そしてすべての人々は、主の平和の計画に入れられています。 |
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