| <メッセージ> |
| ●言葉がない |
| イエスはひどく恐れてもだえ始め、彼らに言われた。「わたしは死ぬばかりに |
| 悲しい。」 |
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| 聖書が告げるこの言葉に対して、私達は言う言葉を持っていません。 |
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| できることなら、この苦しみの時が自分から過ぎ去るようにと祈り、こう言われ |
| た。「アッバ、父よ、あなたは何でもおできになります。この杯をわたしから取り |
| のけてください。しかし、わたしが願うことではなく、御心に適うことが行われま |
| すように。」 |
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| 聖書が告げるこの言葉について、私達は何かを言う資格がありません。 |
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| イエス様の苦しみがわかると言うのですか。 |
| イエス様の苦しみに心が痛むとでも言うのですか。 |
| 私達は祈るイエス様の傍らで眠っている者ではありませんか。 |
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| 弟子達だけが眠ったのはありません。 |
| 人はすべて眠るのです。 |
| 「目を覚ましていなさい。」 |
| と言われていても眠ってしまいます。 |
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| 私達は眠っています。 |
| イエス様と一緒に祈ることができません。 |
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| ●眠る弟子達 |
| 弟子達は眠っていました。 |
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| イエス様は |
| 「シモン、眠っているのか。わずか一時も目を覚ましていられなかったのか。 |
| 誘惑に陥らぬよう、目を覚まして祈っていなさい。心は燃えても、肉体は弱い。」 |
| と言われました。 |
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| イエス様にそう言われても、また弟子達は眠りました。 |
| 戻ってこられたイエス様に言う言葉がありません。 |
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| 三度目にイエス様が戻って来られた時、弟子達はやっぱり眠っていました。 |
| イエス様は言われました。 |
| 「あなたがたはまだ眠っている。休んでいる。もうこれでいい。時が来た。 |
| 立て、行こう。」 |
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| ●「行こう」 |
| 「行こう」は一人称複数形です。 |
| 「さあ、わたしたちは行こう」 |
| とイエス様は言われるのです。 |
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| でも弟子達はイエス様と一緒に行くことが出来ませんでした。 イエス様を捨て |
| て逃げました。 |
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| イエス様はご自分を捨てて逃げる弟子達であることを知っておられながら、 |
| 「さあ、わたしたちは行こう」と言われたのです。 |
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| ●私達 |
| イエス様はけさ私達にも言っておられます。 |
| 「さあ、わたしたちは行こう」 |
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| 私達はイエス様と一緒に行けるでしょうか。 |
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| 少しの困難が襲ってきたら、イエス様を捨てて逃げ出すのではありませんか。 |
| 一時はイエス様と一緒に行こうと思っても、世の誘いに陥って、いつのまにか |
| 離れて行く者ではありませんか。 |
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| 私達はイエス様と一緒に行くことが出来ないのです。 |
| にもかかわらずイエス様が「わたしたちは行こう」と言われるのは、イエス様が |
| 私達と行ってくださるからです。 |
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| イエス様が人となってこの世に生まれてくださったのはそのためでした。 |
| 十字架にかかられたのはそのためでした。 |
| 復活されたのはそのためでした。 |
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| ●「立て」 |
| イエス様は眠っている弟子達に「立て、行こう」と言われました。 |
| 「あなたがたは立ちなさい。さあ、わたしたちは行こう。」 |
| と言われたのです。 |
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| 「立て」と訳されている言葉は、もともとは「目を覚まさせる」という言葉です。 |
| そしてこの言葉は、「死人をよみがえらせる」という意味も持っています。 |
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| 私達は今、「立て」という言葉を聞いています。 |
| 私達は目を覚します。 |
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| 十字架にかかり復活されたイエス・キリストは、私達を復活せてくださいます。 |
| 私達は復活の命に生かされ、復活の主イエス・キリストが一緒に行ってくださ |
| る人生を歩んでいます。 |
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| ●この世に生きる |
| この世に生きる私達には、様々な苦しみがあります。 |
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| 苦しい出来事に出会って、ひどく恐れます。 |
| 震え上がります。 |
| 凍り付いてしまいます。 |
| 「恐い」と叫びます。 |
| 心がつらくて、もだえます、うめきます。 |
| どうすることも出来なくて、死ぬしかないと思います。 |
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| 何とかして苦しみから逃れたいと願います。 |
| この苦しみの時が過ぎ去るようにと、ただただそのことを願います。 |
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| ●イエス様がおられる |
| そのようにわたしが苦しみもだえている時、ふと気付きます。 イエス様がおら |
| れる。 |
| わたしのかたわらで、イエス様がわたしの苦しみを苦しんでいてくださる。 |
| ああ、一人ではないんだ。 |
| イエス様、助けてください、と叫びます。 |
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| イエス様はわたしと一緒に祈ってくださっています。 |
| わたしもイエス様の祈りに入れられていくのです。 |
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| ●アッパ父よ |
| イエス様は |
| 「アッバ、父よ、」 |
| と言われました。 |
| 「アッバ」というのは幼い子供がお父さんを呼ぶ呼び方です。 |
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| わたしも「おとうちゃん」と、親に信頼しきっている幼子のように、神様に親しく |
| 呼びかけます。 |
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| ●何でもおできになる |
| イエス様は |
| 「あなたは何でもおできになります。」 |
| と祈られました。 |
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| わたしもイエス様に導かれて「あなたは何でもおできになります」と告白させて |
| いただきます。 |
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| 神様はどんなことでもお出来になる、 |
| 神様に出来ないことは一つもない、 |
| これは祈りの土台です。 |
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| 人間にはどんなに力を尽くしても出来ないこと、変えられない出来事があります。 |
| 私達はそういう中にどっぷりつかっていますから、神様でもこんなことは出来な |
| いだろうと思ってしまいます。 |
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| そんな風に思いながら祈っていたら、祈りは何の力にもなりません。 |
| 何も起こりません。 |
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| 神様は何でもおできになる、その中で祈るのです。 |
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| ●自分お願い |
| 「あなたは何でもおできになります。」 |
| と信じるから、どんなことでも祈ることができます。 |
| こんな事は祈ってもどうにもならないと、自分で決めつけてはなりません。 |
| 自分の願い、自分の気持を正直に祈ります。 |
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| イエス様は |
| 「あなたは何でもおできになります。」 |
| と言われて |
| 「この杯をわたしから取りのけてください。」 |
| と祈られたのでした。 |
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| イエス様はご自分の使命がわかっておられました。 |
| 十字架に死んですべての人々の罪を贖うことが神様の御心であることがわかっ |
| ておられました。 |
| わかっていても恐ろしい、死ぬばかりに悲しいのです。 |
| もだえ苦しむ心をそのままに祈られました。 |
| この苦しみの時を過ぎ去らせて欲しい、この杯を取りのけてください、と祈られ |
| ました。 |
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| 私達も、怖ろしい、悲しい、もだえ苦しむ心をそのままに祈ります。 |
| 苦しみもだえ、恐れに取り付かれ、とりみだして祈っていると、イエス様の声が |
| 聞こえます。 |
| 「いいんだよ。苦しい、悲しい、恐い、不安で居ても経ってもいられないと、祈っ |
| ていいんだよ。」 |
| イエス様がわたしの傍らでわたしの祈りを祈ってくださっています。 |
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| きれいに取り繕った祈りは必要なかったのでした。 |
| 信仰深そうな言葉は偽りの言葉でした。 |
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| ●御心のままに |
| そしてイエス様はついに |
| 「しかし、わたしが願うことではなく、御心に適うことが行われますように。」 |
| と祈られました。 |
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| わたしもこの祈りに導かれたいです。 |
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| イエス様は何度も何度も |
| 「アッバ、父よ、あなたは何でもおできになります。この杯をわたしから取りのけ |
| てください。」 |
| と祈られました。 |
| 祈りの格闘をなさいました。 |
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| そしてついに |
| 「しかし、わたしが願うことではなく、御心に適うことが行われますように。」 |
| と祈られたのです。 |
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| あるがままの自分の心、自分の願い、自分の気持ちを祈る祈りが、「御心に適 |
| うことが行なわれますように」という祈りになっていきます。 |
| 人には隠している自分、見たくないと自分自身で否定している自分を神様に |
| お話しできた。 |
| 神様は、本当のわたしをそのまま受け取ってくださった。 |
| 安心します。 |
| このお方にお任せしていれば大丈夫だ、と思うようになります。 |
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| わたしが願うことは、この後一分後に何が起こるのかわからない者が願う願い |
| です。 |
| けれども神様はわたしのすべてをご存じで、先の先まで知っておられるのです。 |
| わたしの願いよりも、神様がなさることの方が確かです。良いことです。 |
| 神様に信頼して、「御心のままに」と祈ります。 |
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| ●時が来た |
| イエス様が願われたことではなく、御心にかなうことが起こりました。 |
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| イエス様が罪人たちの手に引き渡される時が来ました。 |
| イエス様を裏切る者が来ました。 |
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| できることなら、この苦しみの時が自分から過ぎ去るようにと祈られたイエス様 |
| は、自らその時に踏み込んで行かれます。 |
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| まっすぐに十字架に向かって歩まれます。 |
| 弟子達の弱さ、人間の弱さを背負って、ただ一人、十字架に向かわれます。 |
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| ●私達も |
| このお方が私達の主なのです。 |
| 「立て」と言って私達を復活の命に生かしてくださり、「行こう」とわたしと一緒に |
| 行ってくださっている主なのです。 |
| 私達は |
| 「わたしが願うことではなく、御心に適うことが行なわれますように」 |
| と祈りながら生きていきます。 |
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| 起こることは、わたしが願っていることではないかもしれません。 |
| でもゆだねる心に平安があります。 |
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| ●これまでの祈り |
| 振り返ってみれば、わたしの祈りはいつも「わたしの願い通りになりますように」 |
| という祈りでした。 |
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| わたしの願い通りになれば神様はすばらしいと賛美し、願い通りにならないと |
| 祈っても何にもならない、と神様を疑いました。 |
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| わたしの願い通りになることを祈る心はいつも不安でした。 |
| そうならないのではないかという不安がいつもありました。 |
| そのために益々熱心に祈りました。 |
| 願い通りにならないと、自分の祈りが足りないからだと、自分を責めました。 |
| 「御心がなりますように」と祈っても、それは願い通りにならなかったときの予防 |
| 線に過ぎませんでした。 |
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| ●イエス様が一緒 |
| けれど今、イエス様は「さあわたしたちは行こう」と言っておられるのです。 |
| イエス様が私達と一緒に行ってくださるのです。 |
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| イエス様がおられるから大丈夫。 |
| わたし自身は相変わらず恐れ、不安になり、どうしようもなくなる者です。 |
| でもイエス様が居てくださる。 |
| わたしの祈りを祈ってくださっている。 |
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| 一緒に行ってくださるイエス様に手を引かれながら、私達はわたしの人生を |
| 歩んでいきます。 |
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| ●結語 |
| 「恐いんだね、不安なんだね、でも大丈夫。わたしにゆだねなさい」と言われる |
| イエス様の声が聞こえています。 |
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