| <メッセージ> |
| ●山頂 |
| 私達はついに山の頂に登り着きました。 |
| 立ちこめていた雲は消え去りました。 |
| はるか地平線のかなたまで見通せます。 |
| 頭上には天がはてしなく広がっています。 |
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| 突き上げてくる思いがあります。 |
| 「ああ、神の富と知恵と知識のなんと深いことか。」 |
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| ●秘められていた計画 |
| 私達は礼拝でローマの信徒への手紙を読み進めてきました。 |
| 旧約聖書と交互に読み進めていますから、月2回のペースです。 |
| ローマ書に入ったのは去年の5月7日でした。 |
| 私達はこの1年半、ローマ書から福音を聞いてきたのです。 |
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| そして今日、ついにこれまで秘められていた神様の計画が明らかにされました。 |
| 「神はすべての人を不従順の状態に閉じ込められましたが、それは、すべての |
| 人を憐れむためだったのです。」 |
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| ●心を痛めている |
| 私達の周りには、不従順な人、すなわち、神様を知らない人、神様を信じない人、 |
| 神様に従わない人達がたくさんいます。 |
| 大切な家族の中にも、神様を受け入れていない者がいます。 |
| 夫は、妻は、子供達は、親戚はどうなってしまうのだろう、と私達は心を痛めて |
| います。 |
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| ●イスラエル人 |
| パウロが心を痛めていたのは、イスラエル人のことでした。 |
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| イスラエル人はユダヤ人のことです。 |
| ユダヤ人が神様から選ばれた民であることを言い表したい時には、イスラエル |
| という言い方をします。 |
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| イスラエル人は神様から選ばれ 祝福され、すべての民の祝福の源となるよう |
| にと、使命を与えられた民でした。 |
| イスラエルは従順な民、神様を知らず律法を守らない異邦人は不従順な人達 |
| と思われていました。 |
| ところが、イスラエル人は、神様がすべての人々のすべての罪を贖うために遣 |
| わされたイエス・キリストを殺してしまったのです。 |
| 彼らは神様に敵対したのでした。 |
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| 神様に不従順な民、キリストによる救いを受け入れない、福音を受け入れない |
| イスラエル人は神様に捨てられ滅びてしまうのだろうか、とパウロは心を痛め |
| ていたのでした。 |
| このことについて、パウロは9章から11章にわたって言葉を重ねて述べていま |
| す。 |
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| ●秘められた計画 |
| そしてついに神様の秘められた計画が示されたのでした。 |
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| 「一部のイスラエル人がかたくなになったのは、異邦人全体が救いに達するま |
| でであり、 |
| こうして全イスラエルが救われるということです。」 |
| これが、パウロに示された神様の秘められた計画です。 |
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| 異邦人全体が救われ、全イスラエルも救われるのです。 |
| すべての人々が救われるのです。 |
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| ●解き明かし |
| 神様の秘められた計画が解き明かされていきます。 |
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| 「あなたがたは、かつては神に不従順でしたが、今は彼らの不従順によって憐 |
| れみを受けています。」 |
| とあります。 |
| 「あなたがた」は異邦人、「彼ら」はイスラエル人のことです。 |
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| イエス様が来られる前は、異邦人は神様に不従順でした。 |
| けれどもキリストによる赦しが現れた時、異邦人はキリストの福音を受け入れた |
| のでした。 |
| キリストを十字架にかけるというイスラエル人の不従順によって実現したキリスト |
| の贖いです。 |
| イスラエルの不従順によって、異邦人が神様の憐れみを受けることが出来るよ |
| うになったのでした。 |
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| ●誇ることは出来ない |
| けれど異邦人は、自分達は賢い者だとうぬぼれることは出来ません。 |
| 自分達の知恵や賢さによってキリストの福音に与ったのではないのです。 |
| ただただ神様の憐れみによるのです。 |
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| ●イスラエルへの憐れみ |
| 同様のことがイスラエル人についても言える、とパウロは言います。 |
| 「それと同じように、彼らも、今はあなたがたが受けた憐れみによって不従順に |
| なっていますが、それは、彼ら自身も今憐れみを受けるためなのです。」 |
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| イスラエル人はキリストの福音を受け入れませんでした。 |
| イスラエルは不従順な者になりました。 |
| けれど、神様の賜物と招きは取り消されることはありません。 今イスラエル人 |
| が不従順になっているのは、憐れみを受けるためなのです。 |
| ちょうど不従順だった異邦人が神様の憐れみを受けたように、不従順なイスラ |
| エル人も神様の憐れみを受けるのです。 |
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| ●すべて |
| 「神はすべての人を不従順の状態に閉じ込められましたが、それは、すべての |
| 人を憐れむためだったのです。」 |
| と記されています。 |
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| 異邦人は神様に不従順でありました。 |
| イスラエル人も神様に不従順でありました。 |
| 神様はすべての人を不従順の状態に閉じ込められました。 |
| それは、すべての人を神様が憐れむためだったのです。 |
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| ●理解できない |
| 神様の富と知恵と知識のなんと深いことでしょうか。 |
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| 私達は神様の定めを究め尽くすことが出来ません。 |
| 神様の道を理解し尽くすことができません。 |
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| 神様の定め、神様の道は、私達が考えるそれとは全く違うのです。 |
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| 私達は思います。 |
| 神様に不従順だった人が、神様に従順な人に変えられて、神様に従順になった |
| 人が神様に救っていただけると思っています。 |
| すべての人は救われるとしたら、すべての人が神様に従順になった時だと、思っ |
| ています。 |
| でも、そうはならないだろうと、内心思っています。 |
| 神様に従順になって救われる人と、不従順のままでいて救われない人がいるの |
| だと思っています。 |
| 人を救われる人と救われない人に分けています。 |
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| ●神のなさりよう |
| ところが神様のなさりようは全くそうではないのです。 |
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| すべての人々を従順にさせて、救おうとされるのではないのです。 |
| すべての人を不従順の状態に閉じ込められるのです。 |
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| 不従順の状態に閉じ込められたすべての人を、神様は憐れまれます。 |
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| 人はすべて不従順なのです。 すべての人はただ神様の憐れみによって救わ |
| れるのです。 |
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| ●3章24節 |
| パウロは3章23、24節で言っています。 |
| 「人は皆、罪を犯して神の栄光を受けられなくなっていますが、 |
| ただキリスト・イエスによる贖いの業を通して、神の恵みにより無償で義とされ |
| るのです。」 |
| これがローマ書の中心であり、福音の中心であると、幾度も申し上げてきました。 |
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| キリストの贖いの業は、神様がなさった業です。 |
| 神様が一方的になさった出来事です。 |
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| この神様の業が、人間の間でどのような出来事になって現れていくのかを記し |
| ているのが、今日の箇所です。 |
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| ●時間の経過の中で |
| 神様の業は時間の経過を伴って進められていきます。 |
| まず、神様によるイスラエルの選びがありました。 |
| 神様に背く人間の長い歴史があって、ついにイエス・キリストが来られたのでし |
| た。 |
| キリストの十字架によってすべての人のすべての罪が贖われました。 |
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| 異邦人は神様に不従順でしたが、キリストの福音を受けれました。 |
| 従順に生きる道を歩み始めました。 |
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| イスラエル人は、キリストの福音を受けれませんでした。 |
| 神様に不従順な者になりました。 |
| それは、イスラエル人が神様の憐れみを受けるためなのです。 |
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| ●神の憐れみ |
| 「神はすべての人を不従順の状態に閉じ込められましたが、それは、すべての |
| 人を憐れむためだったのです。」 |
| 誰一人、わたしは神様に従順です、と言うことは出来ません。 |
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| 異邦人もイスラエル人も神様に不従順です。 |
| すべての人が不従順です。 |
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| 神様の憐れみは不従順な者に注がれます。 |
| ですから、神様の憐れみはすべての人に注がれるのです。 |
| すべての人は、ただ神様の憐れみによって救われるのです。 |
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| ●同じこと |
| 3章23、24節と11章23節は同じことを言っています。 |
| 「人は皆、罪を犯して神の栄光を受けられなくなっています」 |
| が |
| 「神はすべての人を不従順の状態に閉じ込められました」 |
| と言い表されています。 |
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| 「ただキリスト・イエスによる贖いの業を通して、神の恵みにより無償で義とされ |
| るのです。」 |
| が |
| 「それは、すべての人を憐れむためだったのです。」 |
| と言い表されています。 |
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| ●小さくしていた |
| 私達は今日神様の秘められた計画を知りました。 |
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| 私達はこれまで、何と神様を小さくしていたことでしょうか。 自分達の知恵と |
| 知識にたよって、神様を小さくしていたのです。 |
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| 神の富と知恵と知識のなんと深いことか。 |
| 神様の愛は、神様の憐れみは、神様の救いは、すべての人を包み込んでいま |
| す。 |
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| ●山頂に立つ |
| 今私達はパウロと共に、山の頂に立っています。 |
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| 遮る雲はひとつもありません。 |
| 私達人間の考えや知恵や知識はすべて取り去られました。 |
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| 天からの光だけが私達を照らし、包んでいます。 |
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| 私達は遙か彼方を見ます。 |
| すべての人が神様の救いの中に居るのが見えます。 |
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| ●神 |
| すべてのものは、神から出て、神によって保たれ、神に向かっているのです。 |
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| 救いの出来事は神様が始められました。 |
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| 今私達が生きているこの時は神様によって保たれています。 現実に目をやれ |
| ば、キリストの福音を受け入れている人はごく少数です。 |
| 世の中のすべての事柄が恐ろしい方向に向かっているように見えます。 |
| けれど今この時も神様によって保たれているのです。 |
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| そしてすべては神様の救いの完成に向かって進んでいるのです。 |
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| 「すべてのものは、神から出て、神によって保たれ、神に向かっているのです。」 |
| 原文のギリシャ語はシンプルで詩のようです。 |
| 「神から |
| 神によって |
| 神へと |
| すべては 」 |
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| ●結語 |
| 喜びが湧いてきます。 |
| 「ああ、神の富と知恵と知識のなんと深いことか。」 |
|
| 賛美が溢れてきます。 |
| 「栄光が神に永遠にありますように、アーメン」 |
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