| <メッセージ> |
| ●報復する主 |
| 先週私達はナホム書を通して、主の厳しい言葉を聞きました。 |
| 「主は熱情の神、報復を行われる方。主は報復し、激しく怒られる。主は敵に報 |
| 復し、仇に向かって怒りを抱かれる。」 |
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| 実際に、主は御自分の民イスラエルを支配し苦しめるアッシリアに報復された |
| のでした。 |
| BC612年、アッシリアの首都ニネベは陥落しました。 |
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| ●主は惜しむ |
| けれど主は、悪を重ねるニネベを惜しまれる主でもあられるのです。 |
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| 主は言われます。 |
| 「どうしてわたしが、この大いなる都ニネベを惜しまずにいられるだろうか。そこ |
| には、十二万人以上の右も左もわきまえぬ人間と、無数の家畜がいるのだか |
| ら。」 |
| 主は右も左もわきまえない人間を惜しまれるのです。 |
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| ●逃げるヨナ |
| 主の言葉がヨナに臨みました。 |
| 「さあ、大いなる都ニネベに行ってこれに呼びかけよ。彼らの悪はわたしの前 |
| に届いている。」 |
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| けれどヨナは主から逃げたのです。 |
| ヨナは海沿いの町ヤッファに来ました。 |
| ニネベに行くなら陸路を辿ることになります。 |
| ところがヨナは、タルシシュ行きの船に乗り込んだのです。 |
| タルシシュは地中海を渡った先にある場所かと思われます。 |
| ニネベとは反対方向に向かったのでした。 |
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| ●海から救われて |
| ところが海が大荒れになって船が沈みそうになりました。 |
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| この災難はヨナが主から逃げたことによって起こった事が判明します。 |
| ヨナは海に投げ込まれました。 |
| すると荒れ狂っていた海は静まったのでした。 |
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| 海に投げ込まれたヨナを大きな魚がのみ込みました。 |
| ヨナは三日三晩魚の腹の中にいた後に陸にはき出されました。 |
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| ●再び主の言葉 |
| 主の言葉が再びヨナに臨みます。 |
| 「さあ、大いなる都ニネベに行って、わたしがお前に語る言葉を告げよ。」 |
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| 今度はヨナは主の命令どおり、直ちにニネベに行きました。 |
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| そして叫びました。 |
| 「あと四十日すれば、ニネベの都は滅びる。」 |
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| すると、ニネベの人々も王様も悔い改めたのでした。 |
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| 神様は彼らの業、彼らが悪の道を離れたことを御覧になり、思い直され、宣告 |
| した災いをくだすのをやめられたのでした。 |
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| ●良かった |
| 良かった良かった、ニネベに災いがくだされなくって良かった、と私達は思うで |
| しょう。 |
| ヨナはニネベを悔い改めに導いた。 |
| その役割を立派に果たした。 |
| めでたし、めでたし、と私達は思います。 |
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| でも、そう思うのは、ヨナ書を聖書に書かれているお話として読んでいるからで |
| す。 |
| 自分とは関わりはないゲームを外野席にいて見物し、評論している人のようで |
| す。 |
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| ●怒るヨナ |
| ヨナは、そうは思わなかったのです。 |
| 彼はこのなりゆきに不満を感じ、怒ったのです。 |
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| そんなヨナをどう思いますか。 |
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| 主に従わない悪いやつ、へそ曲がりのわからず屋、仕様のないやつだ、と思う |
| でしょうか。 |
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| でもそんな風に思っていていいのですか。 |
| 主から逃げ出すへそ曲がりのわからず屋、仕様のないやつは、私達自身では |
| ありませんか。 |
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| ●行きたくない |
| ヨナは、主が「さあ、大いなる都ニネベに行ってこれに呼びかけよ。」と言われ |
| た時、行きたくないと思ったのです。 |
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| ニネベは今自分達の国を支配し苦しめているアッシリアの首都なのです。 |
| 滅びてしまえばいい、と思っている国です。 |
| しかもずいぶん遠い。 |
| そんなところに、どうして自分が行かなければならないのか。 |
| どうして、そんな人達に神の言葉を語らなければいけないのか。 |
| 自分の愛する同胞のためにならともかく、そんな人達のために苦労するのはご |
| めんだ。 |
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| ●逃げるヨナ |
| ヨナは逃げます。 |
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| ここにいたらまた主に呼ばれると思って、船に乗って逃げたのです。 |
| 人に紛れ込んでいたら見つからないだろう、 |
| ここまで来ればもう神様は追っては来ないだろう、 |
| やれやれ、と船底に降りてぐっすりと寝込んだヨナでした。 |
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| ●追い求める主 |
| けれども、主はどこまでもヨナを追い求められるのです。 |
| 何としてもヨナをニネベに送ろうと思われます。 |
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| 「主は大風を海に向かって放たれたので、海は大荒れとなり、船は今にも砕け |
| んばかりとなった。」 |
| 「主は巨大な魚に命じて、ヨナを呑み込ませられた。」 |
| 「主が命じられると、魚はヨナを陸地に吐き出した。」 |
| 全部、主が主語です。 |
| 全部、主がなさったのでした。 |
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| 主は、主から逃げ出したヨナを、死から救われました。 |
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| ●主に従うヨナ |
| 主は再びヨナに言われます。 |
| 「さあ、大いなる都ニネベに行って、わたしがお前に語る言葉を告げよ。」 |
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| 今はもうヨナにはわかっています、 |
| 主からは逃れられない。 |
| どこにいても見つけられてしまう。 |
| 主はわたしの命を救ってくださった。 |
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| 今度はヨナは主に従いました。 |
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| ヨナは人々に「あと四十日すれば、ニネベの都は滅びる。」と叫びました。 |
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| ●不満 |
| ところがニネベは滅びなかったのです。 |
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| ヨナにとって、このことは大いに不満でありました。 |
| ヨナは怒って主に訴えました。 |
| 「ああ、主よ、わたしがまだ国にいましたとき、言ったとおりではありませんか。 |
| だから、わたしは先にタルシシュに向かって逃げたのです。わたしには、こうな |
| ることが分かっていました。あなたは、恵みと憐れみの神であり、忍耐深く、慈 |
| しみに富み、災いをくだそうとしても思い直される方です。 |
| 主よどうか今、わたしの命を取ってください。生きているよりも死ぬ方がましで |
| す。」 |
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| ヨナの不満、怒りの原因は、主が恵みと憐れみの神であり、忍耐深く、慈しみに |
| 富み、災いをくだそうとしても思い直される方であることです。 |
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| ●恵のはず |
| 主が恵みと憐れみの神であり、忍耐深く、慈しみに富み、災いをくだそうとして |
| も思い直される方であることは,感謝なことのはずです。 |
| それがどうして不満なの? |
| と思われるでしょうか。 |
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| ●自分中心 |
| わたしが主の恵み憐れみ慈しみによって、滅びから救われていることは喜びで |
| あり感謝なのです。 |
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| わたしの愛する者が主の恵み憐れみ慈しみによって滅びから救われることは, |
| 感謝なのです。 |
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| でも、わたしが憎んでいる者、わたしの敵が、主の恵み、憐れみ、慈しみを受け |
| ることは我慢ならないのです。 |
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| そうする主に怒りを感じます。 |
| 自分が見捨てられたように感じます。 |
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| 人間はどうしようもなく自分中心なのです。 |
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| ●ヨナの感謝 |
| ヨナがそうでした。 |
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| ヨナは自分自身が主の憐れみ慈しみによって死から逃れさせていただいたの |
| でした。 |
| それは感謝なのです。 |
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| ヨナは魚の腹の中で主に祈っています。 |
| 「苦難の中で、わたしが叫ぶと、主は答えてくださった。 |
| 陰府の底から、助けを求めると、わたしの声を聞いてくださった。 |
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| あなたは、わたしを深い海に投げ込まれた。 |
| 潮の流れがわたしを巻き込み、波また波がわたしの上を越えて行く。 |
| わたしは思った、あなたの御前から追放されたのだと。生きて再び聖なる神殿 |
| を見ることがあろうかと。 |
| 大水がわたしを襲って喉に達する。 |
| 深淵に呑み込まれ、水草が頭に絡みつく。 |
| わたしは山々の基まで、地の底まで沈み、地はわたしの上に永久に扉を閉ざす。 |
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| しかし、わが神、主よ、あなたは命を、滅びの穴から引き上げてくださった。 |
| 息絶えようとするとき、わたしは主の御名を唱えた。 |
| わたしの祈りがあなたに届き、聖なる神殿に達した。 |
| 偽りの神々に従う者たちが、忠節を捨て去ろうとも |
| わたしは感謝の声をあげ、いけにえをささげて、誓ったことを果たそう。 |
| 救いは、主にこそある。」 |
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| ●許せない |
| でも、他の人達についてはそう思えないのです。 |
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| 神様が「あと四十日すれば、ニネベの都は滅びる。」と言ったから自分はそう |
| 言ったのに、そうならなかった、ということが許せません。 |
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| まるでわたしが嘘を言ったように思われるではないか。 |
| わたしにそう言っておきながらそうされなかった、神様に裏切られたと感じるの |
| です。 |
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| 私達はヨナと同じです。 |
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| ●とうごまの木 |
| 怒るヨナに主は言われました。 |
| 「お前は怒るが、それは正しいことか。」 |
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| そして主はなおもヨナに恵みの業をしてくださったのです。 |
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| 照りつける日に焼かれる苦痛を救うため、主はとうごまの木に命じて芽を出さ |
| せられました。 |
| とうごまの木は伸びてヨナよりも丈が高くなり、頭の上に陰をつくったので、ヨナ |
| の不満は消え、このとうごまの木を大いに喜びました。 |
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| ●枯れる |
| でもそれは一時の不満解消に過ぎません。 |
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| 主はさらなる業をなさいます。 |
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| 主は翌日の明け方、虫に命じて木に登らせました。 |
| 虫はとうごまの木を食い荒らし木は枯れてしまいました。 |
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| 日が昇ると、主は今度は焼けつくような東風に吹きつけるよう命じられました。 |
| 太陽もヨナの頭上に照りつけたので、ヨナはぐったりとなり、死ぬことを願って言 |
| ったのでした。 |
| 「生きているよりも、死ぬ方がましです。」 |
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| すると主はヨナに言われました。 |
| 「お前はとうごまの木のことで怒るが、それは正しいことか。」 |
| ヨナは言います。 |
| 「もちろんです。怒りのあまり死にたいくらいです。」 |
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| すると、主が言われたのでした。 |
| 「お前は、自分で労することも育てることもなく、一夜にして生じ、一夜にして滅 |
| びたこのとうごまの木さえ惜しんでいる。 |
| それならば、どうしてわたしが、この大いなる都ニネベを惜しまずにいられるだ |
| ろうか。そこには、十二万人以上の右も左もわきまえぬ人間と、無数の家畜が |
| いるのだから。」 |
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| 十二万人以上の右も左もわきまえない人間を惜しまれる主です。 |
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| ●イエス様 |
| イエス様はヨナの物語をご存じでした。 |
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| 律法学者とファリサイ派の人々が「しるしを見せてください」と言ったのに対して |
| 言われたのです。 |
| 「よこしまで神に背いた時代の者たちはしるしを欲しがるが、預言者ヨナのしる |
| しのほかには、しるしは与えられない。 |
| つまり、ヨナが三日三晩、大魚の腹の中にいたように、人の子も三日三晩、大 |
| 地の中にいることになる。」 |
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| イエス様は、今わたしが聞いている話を知っておられるのだと思うと、わたしと |
| イエス様は一つになっていると感じます。 |
| 胸がどきどきします。 |
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| イエス様はさらに言われました。 |
| 「ニネベの人たちは裁きの時、今の時代の者たちと一緒に立ち上がり、彼らを |
| 罪に定めるであろう。ニネベの人々は、ヨナの説教を聞いて悔い改めたからで |
| ある。ここに、ヨナにまさるものがある。」 |
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| ニネベの人々は、ヨナの説教を聞いて悔い改めました。 |
| 神様は、宣告した災いをくだすのをやめられました。 |
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| けれど人々は、自分達を惜しんでくださる神様の愛に応え続けることができな |
| かったのです。 |
| BC612年、ニネベはついに滅ぼされました。 |
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| 一時は悔い改めても、やがて神様に背く人間です。 |
| 人は自分の信仰で神様の元に帰ることができないのです。 |
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| ●まさるお方 |
| けれどイエス様はヨナにまさるお方です。 |
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| イエス様は単に悔い改めを宣べ伝えられたのではありません。 |
| 悔い改めることができない者に代わって神様の罰を受けてくださったのでした。 |
| 十字架で死んで、罪を贖ってくださいました。 |
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| ●すべての人を惜しまれる |
| 神様はニネベの右も左もわきまえない人間を惜しまれるだけではありません。 |
| すべての人を惜しまれています。 |
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| すべての人々が右も左もわきまえない人間なのです。 |
| 「正しい者はいない。一人もいない。 |
| 悟る者もなく、、神を探し求める者もいない。 |
| 皆迷い、だれもかれも役に立たない者となった。善を行う者はいない。ただの |
| 一人もいない。」 |
| とロマ書に記されています。 |
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| すべての人々の悪が神様の前に届いています。 |
| すべての人々は滅ぼされなければなりません。 |
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| けれども神様はすべての人々を惜しまれるのです。 |
| すべての人々を惜しまれる神様の思いが、イエス・キリストの十字架の出来事 |
| になりました。 |
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| ●結語 |
| 神様の声が聞こえます。 |
| 「わたしはあなたを惜しむ。」 |
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| 神様は、こんなわたしでも惜しんでくださっている。 |
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| 神様は、キリストの十字架によって神様の元に帰っていく道を作ってくださいま |
| した。 |
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| こんなにも、わたしを、私達を、すべての人々をかけがえのない者と思ってくだ |
| さる神様に、感謝します。 |
| 神様、ありがとうございます。 |
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