| <メッセージ> |
| ●春 |
| 春がそこまで来ています。 |
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| こどもの教会が終わる時刻には「ずいぶん明るいわね。この間まで真っ暗だっ |
| たのに」という言葉が思わず口から出ます。 |
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| 土手を散歩しながら春を探します。 |
| 桜のつぼみが、だいぶ大きくなりました。 |
| 白樺も新芽の準備をしています。 |
| 枯れ草色の土手が日ごとに緑色に変わっていきます。 |
| オオイヌフグリも星をちりばめたように咲き始めました。 |
| タンポポも菜の花もあちらこちらに咲いています。 |
| 巣立ったばかりのちっちゃいちっちゃいスズメの子が数羽、「まあかわいい」と |
| 思わず足を止めます。 |
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| 風は冷たいけれど、これからまだ雪が降るかもしれないけれど、春は来つつあ |
| り、もう来ています。 |
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| 「夜は更け、日は近づいた。」も同じです。 |
| 今は夜だけれど、日は来つつあり、もう来ているのです。 |
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| ●レント |
| 今週水曜日からレント(受難節)が始まります。 |
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| 人類は長い間、闇の中を歩んできました。 |
| その闇は、イエス様が十字架にかけられた時、最も暗さを増しました。 |
| 真っ昼間なのに、全地が暗くなりました。 |
| そしてイエス様の死、埋葬。 |
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| 死の暗黒が人類を飲み込み続けます。 |
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| ●復活 |
| 夜はふけていき、朝が近付きました。 |
| そしてあの朝、イエス様が復活されたのです。 |
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| 今、イエス様復活の光が、闇に差し込んでいます。 |
| 私達は復活の光の中に居ます。 |
| 今や眠りから覚める時です。 |
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| ●今の時 |
| 「救いは近づいている」 |
| 「夜は更け、日は近づいた。」 |
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| 今、すでにキリストの光が世に差し込んでいます。 |
| そしてやがて、キリストの光が全地を覆うのです。 |
| すべての人が光の中に居ることになるのです。 |
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| ヨハネの黙示録はその時のことを教えてくれています。 |
| 「この都には、それを照らす太陽も月も、必要でない。神の栄光が都を照らして |
| おり、小羊が都の明かりだからである。 |
| 諸国の民は、都の光の中を歩き、地上の王たちは、自分たちの栄光を携えて、 |
| 都に来る。 |
| 都の門は、一日中決して閉ざされない。そこには夜がないからである。」 |
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| 今は「すでに」と「いまだ」の間の時です。 |
| キリストの救いはすでに来ています。 |
| やがて救いの完成の時が来ます。 |
| その間の時を今私達は生きているのです。 |
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| ●どう生きるか |
| この時をどのように生きていったらいいのかが、今日の箇所に記されています。 |
| 「闇の行いを脱ぎ捨てて光の武具を身に着けましょう。 |
| ・・・ |
| 酒宴と酩酊、淫乱と好色、争いとねたみを捨て、 |
| 主イエス・キリストを身にまといなさい。」 |
| とあります。 |
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| ●「着る」と「脱ぐ」 |
| 「着る」と「脱ぐ」という言葉が使われています。 |
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| 脱ぐのは |
| 闇の行い |
| 酒宴と酩酊、淫乱と好色、争いとねたみ |
| です。 |
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| 着るのは |
| 光の武具 |
| 主イエス・キリスト |
| です。 |
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| ●身にまとって生きている |
| 人は常に何かをまとって生きています。 |
| 裸では生きられないのです。 |
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| どうして裸で生きられないかを、創世記が物語っています。 |
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| 創世記のアダムとエバの物語は、歴史的な事実として捉えるものではありませ |
| ん。 |
| 罪とは何であるかを、物語風に表現しているのです。 |
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| 人は神様が守ってくださっているので、安心して裸で生きていました。 |
| 神様の前でも裸でしたし、人同志も裸でいることが出来ていたのです。 |
| ところが人は、自分が神様になりたいと思うようになりました。 |
| 人は、神様の愛と信頼に背きました。 |
| その結果、人が最初にしたことは、いちじくの葉で身を覆うことでした。 |
| 裸で生きられなくなくなってしまったのです。 |
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| 神様の元を離れて生きていかなければならなくなった人間に、神様は皮の衣 |
| を作って着せられたのでした。 |
| 自分に背いて、もう裸で生きられなくなってしまった人間のために、衣を作り着 |
| せられる神様。 |
| 神様の痛み、悲しみが伝わってきます。 |
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| ●私達がまとっているもの |
| 私達はいつも何かをまとって生きています。 |
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| わたしが身にまとっているものは何かを考えてみてください。 |
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| これまで生きるために身につけてきたすべてがそうです。 |
| 様々な知恵、知識、技術、能力、 |
| 学歴や地位だったり、お金だったり、 |
| そういうもので身を包んで、生きて来たのでした。 |
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| 競争心、優越感、人からの誉れ、自信、等々すべて生きるために身にまとって |
| いるものです。 |
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| ●闇の行いも |
| 人は裸では生きていけません。 |
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| 闇の行い―酒宴と酩酊、淫乱と好色、争いとねたみだって、生きるために身を |
| 覆っているものではありませんか。 |
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| 必要なものが手に入れられなければ、酒宴と酩酊、淫乱と好色、争いとねたみ |
| によって身を覆うほかないではありませんか。 |
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| 悲痛な叫びが聞こえてきます。 |
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| ●代わって覆うもの |
| 闇の行いに眉をひそめ、そんなことやめなさい、と言うのは簡単です。 |
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| けれど捨てろと言われても捨てられるものではありません。 |
| 人は裸では生きられないのです。 |
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| 闇の行いを脱ぎ捨てるためにどうしても必要なのは、代わって自分を覆ってく |
| れるものです。 |
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| ●キリスト |
| キリストが覆ってくださいます。 |
| そして言われます、 |
| 「わたしがあなたを覆っているから、脱ぎ捨てても大丈夫。ちゃんと生きていけ |
| るよ」 |
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| わたしを覆ってくださっているキリストを知った時に、私達は闇の行いを脱ぎ捨 |
| てることができるのです。 |
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| ●私達 |
| 私達はキリストを知りました。 |
| キリストを信じました。 |
| キリストがわたしを覆ってくださっています。 |
| 私達は光の中に居ます。 |
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| ですから、闇の行いを脱ぎ捨てて光の武具を身に着けることができます。 |
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| ●光の武具 |
| 光の武具とはどのようなものでしょうか。 |
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| エフェソの信徒への手紙に「神の武具」について詳しく記されています。 |
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| 「立って、真理を帯として腰に締め、正義を胸当てとして着け、 |
| 平和の福音を告げる準備を履物としなさい。 |
| なおその上に、信仰を盾として取りなさい。それによって、悪い者の放つ火の |
| 矢をことごとく消すことができるのです。 |
| また、救いを兜としてかぶり、霊の剣、すなわち神の言葉を取りなさい。 |
| どのような時にも、“霊”に助けられて祈り、願い求め、すべての聖なる者たち |
| のために、絶えず目を覚まして根気よく祈り続けなさい。」 |
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| 自分が一つ一つ身につけていくのをイメージしてください。 |
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| まず帯です。腰に締めます。 |
| 帯は「真理」です。 |
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| 次に胸当てをつけます。 |
| 胸当ては「正義」です。 |
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| 次に履き物を履きます。 |
| 履き物は「平和の福音を告げる準備」です。 |
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| 一方の手に盾を持ちます。 |
| 盾は「信仰」です。 |
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| 頭に兜をかぶります。 |
| 兜は「救い」です。 |
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| もう一方の手に剣を持ちます。 |
| 剣は「神の言葉」です。 |
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| 私達が身につけるもの−真理、正義、福音を伝えること、信仰、救い、神の言葉、 |
| みんな神様のものです。 |
| 神様がくださるものです。 |
| 頭のてっぺんから足のつま先まで、神様が覆ってくださるのです。 |
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| ●祈り |
| そして戦いに出て行きます。 |
| 生きていくのは本当に戦いです。 |
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| でも鬨の声をあげて出て行くのではありません。 |
| 「どのような時にも、“霊”に助けられて祈り、願い求めて」とあります。 |
| 祈って、祈って出て行くのです。 |
| 祈って祈って、歩むのです。 |
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| 人間の勇ましさはどこにもありません。 |
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| ●「なれ」と言わない |
| 主なる神様は、あなた自身が強くなれ、立派になれ、正しい人間になれ、と命じ |
| られません。 |
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| わたしが強くなって、立派になって、正しい人間にならなければ救われないのな |
| ら、わたしは救われません。 |
| すべての人は救われません。 |
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| 裸のわたしは、弱いです。 |
| 寒さに震え、少しのことに打ちのめされ、いつも何かを恐れておびえています。 |
| 人と争って何かを手に入れようとし、 |
| 人をねたみます。 |
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| 主はわたしの弱さ、わたしの罪をご存じです。 |
| 強そうに振る舞っていても、立派に振る舞っていても、人の目には正しい人間 |
| であると写っていても、 |
| その奥にある裸のわたしをご覧になっています。 |
| そして裸のわたしをそのままそっと覆ってくださいます。 |
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| ●身にまといなさい |
| 「主イエス・キリストを身にまといなさい。」 |
| と促す声が聞こえます。 |
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| 私達はキリストを身にまとって歩んでいきます。 |
| いや、わたしがキリストを身にまとうのではなく、キリストがわたしを覆ってくださ |
| るのです。 |
| ですから私達はキリストを身にまとっていることができるのです。 |
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| キリストに包まれて、キリストに守られて、私達は歩んでいきます。 |
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| 私達の主イエス・キリストが私達を励ましてくださいます。 |
| 「あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出しなさい。わたしは既に世 |
| に勝っている。」 |
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| ●結語 |
| キリストは十字架に死に復活されました。 |
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| すでに光が闇の中に差し込んでいます。 |
| その光はついには全地を、すべての人を覆うのです。 |
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| 夜は更け、日は近づいた。 |
|
| 救いの完成の時へと、私達は光の中を歩んでいきます。 |
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