| <メッセージ> |
| ●私たちの思い |
| 詩人は言います。 |
| 「94:17 主がわたしの助けとなってくださらなければ、わたしの魂は沈黙の |
| 中に伏していたでしょう。 |
| 94:18 「足がよろめく」とわたしが言ったとき、主よ、あなたの慈しみが支え |
| てくれました。 |
| 94:19 わたしの胸が思い煩いに占められたとき、あなたの慰めが、わたし |
| の魂の楽しみとなりました。」 |
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| これは私たちのことです。 |
| 私たちが体験してきたことです。 |
| 詩編の詩人は、私たちの思いを言葉にしてくれています。 |
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| ●滅ぼしてください |
| 詩編の詩人は、「主よ」と呼びかけて言います。 |
| 「94:1 主よ、報復の神として、報復の神として顕現し |
| 94:2 全地の裁き手として立ち上がり、誇る者を罰してください。 |
| 94:3 主よ、逆らう者はいつまで、逆らう者はいつまで、勝ち誇るのでしょう |
| か。」 |
| 5節 |
| 「94:5 主よ、彼らはあなたの民を砕き、あなたの嗣業を苦しめています。」 |
| 23節 |
| 「94:23 彼らの悪に報い、苦難をもたらす彼らを滅ぼし尽くしてください。わ |
| たしたちの神、主よ、彼らを滅ぼし尽くしてください。」 |
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| 彼は、自分を苦しめている人に神様が報復してくださることを願います。 |
| 「彼らを滅ぼし尽くしてください」とさえ言うのです。 |
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| ●ありのままの思いを |
| 私たちは、こんな祈りをしてはいけないと思っているのではないでしょうか。 |
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| 私たちは、神様の耳に心地よい祈りをしなければならないと思っているのです。 |
| それで心の中は、人に対する怒りや恐怖で一杯でこの人がいなくなればいい |
| と思っているのに、その気持を押し殺して、いかにももっともらしい言葉で祈る |
| のです。 |
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| あるいは、「報復してください」「滅ぼし尽くしてください」と叫ばずにはいられな |
| いほどの苦しみを、味わっていないのかもしれません。 |
| まだ立派な言葉を言い連らねる余裕があるのです。 |
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| ●切羽詰まった祈り |
| でも、詩人は切羽詰まっています。 |
| 「94:3 主よ、逆らう者はいつまで、逆らう者はいつまで、勝ち誇るのでしょう |
| か。」 |
| と叫びます。 |
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| 「いつまで」「いつまで」と繰り返して言います。 |
| 終わりが見えない苦しみほどつらいものはありません。 |
| 傲慢な、おごり高ぶった言葉が彼に投げつけられ続けているのです。 |
| もう耐えられない。 |
| 苦しみが限界まで来ています。 |
| 「報復してください」と祈らずにはいられません。 |
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| ●人々を苦しめている |
| おごり高ぶった人々は、社会の人々を苦しめています。 |
| やもめや寄留の民を殺しています。 |
| みなしごを虐殺しています。 |
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| 殺されるのは、彼の家族、親戚、友達など身近にいる人達なのかもしれません。 |
| 耐えがたい思いに駆られます。 |
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| どうしてこれほどまでに残虐なことが出来るのか、と思います。 |
| それは、この人達が主なる神様を見失っているからだと気付きます。 |
| 彼らは言っているのです。 |
| 「主は見ていない。ヤコブの神は気づくことがない。」 |
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| ●主に逆らう者への怒り |
| 主に訴えれば訴えるほど、怒りが燃え上がってきました。 |
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| 彼は、悪を行う者達に怒りをぶつけます。 |
| でも直接ぶつける勇気はありません。 |
| そんなことをしたら、何をされるかわかりません。 |
| 彼らに言ってやりたい、でも実際には言えないでいる言葉を、祈りの中で |
| はき出します。 |
| 「94:8 民の愚かな者よ、気づくがよい。無知な者よ、いつになったら目覚 |
| めるのか。 |
| 94:9 耳を植えた方に聞こえないとでもいうのか。目を造った方に見えない |
| とでもいうのか。 |
| 94:10 人間に知識を与え、国々を諭す方に、論じることができないとでもい |
| うのか。 |
| 94:11 主は知っておられる、人間の計らいを、それがいかに空しいかを。」 |
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| ●主に向かう |
| 怒りをはき出したら、すっとしました。 |
| また主に向かうことが出来ました。 |
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| 「94:12 いかに幸いなことでしょう、主よ、あなたに諭され、あなたの律法を |
| 教えていただく人は。」 |
| 主からいただいている幸いに気付いたのです。 |
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| 「94:13 その人は苦難の襲うときにも静かに待ちます。」 |
| 聖書協会共同訳では |
| 「あなたはその人の災いの日々にも憩いを与えられる」 |
| と訳されています。 |
| 災いの日々は続いています。 |
| その中にありながら、神様から憩いが与えられているのです。 |
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| 「いつまで」「いつまで」と叫んでいた心が静まりました。 |
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| 裁きを主に委ねる気持になりました。 |
| 主は正しく裁いてくださるでしょう。 |
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| 「94:14 主は御自分の民を決しておろそかになさらず、御自分の嗣業を見 |
| 捨てることはなさいません。」 |
| 主を信頼する心が湧いてきました。 |
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| ●主がしてくださったこと |
| すると、これまで主がしてくださった様々なことが心に浮かんできたのでした。 |
| 「94:18 「足がよろめく」とわたしが言ったとき、主よ、あなたの慈しみが支 |
| えてくれました。 |
| 94:19 わたしの胸が思い煩いに占められたとき、あなたの慰めが、わたし |
| の魂の楽しみとなりました。」 |
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| 彼は言います。 |
| 「94:17 主がわたしの助けとなってくださらなければ、わたしの魂は沈黙の |
| 中に伏していたでしょう。」 |
| 真っ暗闇の中で、もう神様に祈ることも、叫ぶこともなくなってしまっていた。 |
| 魂の暗闇、魂の沈黙の中に倒れ伏していたわたしを、主が助け起こしてくだ |
| さった。 |
| 幾度も幾度もそうしてくださった。 |
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| 詩人は告白します。 |
| 「94:22 主は必ずわたしのために砦の塔となり、わたしの神は避けどころと |
| なり、岩となってくださいます。」 |
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| ●主の報復 |
| 主なる神様は、この詩人の叫びを聞いておられました。 |
| 彼は |
| 「94:1 主よ、報復の神として、報復の神として顕現し |
| 94:2 全地の裁き手として立ち上がり、誇る者を罰してください。」 |
| 「94:23 彼らの悪に報い、苦難をもたらす彼らを滅ぼし尽くしてください。 |
| わたしたちの神、主よ、彼らを滅ぼし尽くしてください。」 |
| と、叫んでいます。 |
|
| 主は彼の祈りを聞き遂げてくださいました。 |
| 全地の裁き手として立ち上がり、正しい裁きを確立されたのです。 |
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| ●キリストの十字架 |
| けれども、その裁きは、詩人が思い及ばないものでした。 |
| 旧約の時代の人達が誰一人考えたことがないものでした。 |
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| 主なる神様は、人々の悪の報いを御子イエス・キリストの上に下されたのです。 |
| キリストを十字架に架けて滅ぼされたのでした。 |
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| これが、神様がなさった裁きです。 |
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| ●イエス様の祈り |
| イエス様は十字架上で叫ばれました。 |
| 「父よ、彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです。」 |
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| 報復を求める詩人の祈りと、何と違うことでしょうか。 |
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| 裁きは救いになりました。 |
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| 今、私たちはこのイエス様の祈りの中に生かされているのです。 |
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| ●わたしにもある |
| 苦しみの中で、裁きを求め、主こそ避けどころと告白する詩人の祈りは、まさ |
| に私達自身の祈りです。 |
| 読みながら、そうだ、そうだと思いました。 |
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| でも心のどこかに突き刺さるものがありました。 |
| 勝ち誇る、おごった言葉を吐き続ける、傲慢に語る、掟を悪用して労苦を作り |
| 出す。 |
| 詩人が激しく責めたてているものが、わたしの中にもあることを感じていまし |
| た。 |
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| 「94:6 やもめや寄留の民を殺し、みなしごを虐殺します。」 |
| これは今も起こっている出来事です。 |
| 戦争や紛争が続いています。 |
| その中でたくさんの人達が死んでいっています。 |
| 心が痛みます。 |
| いつになったら終わるのか。 |
| こういう悲惨がなくなりますようにと、心を込めて祈ります。 |
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| それでも、悲惨な出来事を外から眺めている自分であることに気付くのです。 |
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| ●キリストの赦し |
| そんなわたしであっても、わたしを包む十字架の愛に変わりはありません。 |
| 主イエス・キリストがわたしの罪を代わって負ってくださったのです。 |
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| 主イエス・キリストは、わたしの砦の塔、避けどころ、岩となってくださって |
| います。 |
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| 十字架を目の前にしてイエス様は弟子達に言われました。 |
| 「14:18 わたしは、あなたがたをみなしごにはしておかない。あなたがたの |
| ところに戻って来る。 |
| 14:19 しばらくすると、世はもうわたしを見なくなるが、あなたがたはわたし |
| を見る。わたしが生きているので、あなたがたも生きることになる。」 |
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| 「弁護者、すなわち、父がわたしの名によってお遣わしになる聖霊が、あなた |
| がたにすべてのことを教え、わたしが話したことをことごとく思い起こさせて |
| くださる。 |
| 14:27 わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたし |
| はこれを、世が与えるように与えるのではない。心を騒がせるな。おびえるな。」 |
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| ●主がおられる |
| 主がおられます。 |
| 魂の沈黙に伏しているわたしを助け起こしてくださる主がおられます。 |
| 足がよろめく時、手を取り抱きかかえて支えてくださる主がおられます。 |
| 心が思い煩いで一杯になったとき、心の嵐を静めてくださる主がおられます。 |
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| 主イエス・キリストは私たちのために砦の塔となり、避けどころとなり、岩と |
| なってくださっています。 |
| いつも共にいてくださり、守ってくださっています。 |
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| ●キリストがくださる平和 |
| 私たちはイエス様がくださる平和をいただいています。 |
| イエス様がくださる平和は、世が与える平和とは違います。 |
| イエス様自らが十字架に死に復活されることによって与えてくださった平和 |
| です。 |
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| ●結語 |
| すぐに心を騒がせる私たちです。 |
| おびえる私たちです。 |
| そんな私たちに、今日もイエス様は言われます。 |
| 「心を騒がせるな。おびえるな。」 |
|
| イエス様の声を日ごとに聞きながら、私たちは自分の人生を歩んでいきます。 |
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